「2ヶ月くらい前に、うちのクラスで盗難が何度か起きたんだ…―。」
杉田は語り始めた。
まるで、俺に話しておかなければいけない、というみたいに。
「うん…」
俺も、杉田の話に聞き入った。
「それで、クラスの中の一人の女の子が疑われたんだ。
その子が、体育の授業中、誰もいない教室に入っていくのを見た…って、他のクラスの奴が言い出して…。
その子は、自分じゃないって主張した。
だけど…クラスの奴のほとんどが、彼女を白い目で見るようになった。
だけど、俺は分かってた。絶対そんな事する子じゃないって。
宮田もそうだった。その子の力になると言ってた。」
杉田は、そこで言葉を切った。
そして、机の上の拳をぎりっ…と握りしめて言った。
「最初はな…―」
拳に力を込めたまま、杉田は話を続けた。