3年前…―
俺には、筒井千夏という彼女がいた。
中学に入学した時から千夏が好きだった。
千夏と俺は同じクラス。
俺の一目惚れだった。
千夏は、明るくて、何よりも相手を思いやる事ができる優しい子だった。
俺は、中2になっても、千夏に想いを告げる事ができず、一目惚れの片想いのままだった。
新緑も眩しく、日差しも穏やかな5月…―。
その頃から彼女は、一人でいる事がおおくなっていた。
だけど、俺は、そんな彼女の変化を大きなものだとは思っていなかった。
しっかりした、周りに流されない、自分の意志を持った千夏だから、
「他の女子みたいに大勢でつるんでいるのは苦手。」
いつか、そう言っていたように、彼女の変化は、その言葉通りで、自ら選んだものだと思っていた。