家に帰っても、俺は落ち着かなかった。 森下さんが気になる。 何かを隠しているような気がする。 何か、一人で大きな問題を…闇を抱えこんでる気がする。 もちろん、それは俺の憶測に過ぎない。 思い過ごしかもしれない。 思い過ごし…だといいんだ…。 ―ごめんね…― まただ。 また、声が頭をちらつく。 ―ありがとう…― かき消そうと思っても、何度も頭をよぎる声…。 けっして忘れることのできない…。