「三浦隼人君だね?担任の宮田です。」

「あ、はい。」



6月。

梅雨。

紫陽花が咲く時期に俺はこの学校に転校してきた。

親父の仕事の都合で引越しが決まった時に、俺は、

『あの事』

を忘れる事ができるかもしれない、と思った。

だけど、俺は絶対に忘れる事は出来ないだろう。

それは、俺とあいつとの思い出を消去しろ、という事だ…―。