「ったく、お前はあぶなっかしいな・・・」

「ごめんなさい」

家路について帰ろうとした中、春兄は呟いた。

いつもの癖で、謝る

「素直だな(笑)」

「人間はいつでも素直じゃなきゃいけないって言ったの春兄じゃん」

頬を膨らまし反撃する。

すると、春兄がこっちに振り返った。

「言ったよ。でも、時には素直になっちゃいけない時だってある」

「?昔と違うじゃん」

「あの頃の俺は若かったんだよ」

「ふーん・・・で?どんなとき?」

「んー・・・たとえば、身分が違う時」

身分・・・

その言葉にズキンと胸が痛んだ。

「身分が違うから、好きとも、あいしてるとも言えない」

「ふーん」

「それなのにニコニコ笑いながらも部屋来てさ」

「・・・ふぅん」

部屋・・・私以外に入れてたんだ・・・。

「その上、“兄”なんて付けて信頼するし」

・・・へ?

「こっちは理性ギリギリだってのに・・・」

そう呟いて春兄は足をとめた。

「わかった?俺が話している誰かさん」

「嘘・・・」

「嘘じゃないよ。俺はお前が好き」

嘘だぁ・・・

「どれだけ俺が我慢したと思ってんの?」