「今日はちょっと話があって。誰にも聞かれたくないような話なの」




私の一言でわたしたちの間に流れる空気が重くなったような気がした。

私がこんなふうに話したこともなければ、こういう声を出したこともないからだろう。


「うん?」と頷いた彼の顔の瞳から不安が感じられて、いたたまれない空気と言うのだろうか。



放課後の活気、生徒たちの声がありがたかった、と思ってしまうくらい重い空気にしてしまったのは紛れもなく私だ。



きんちょうする。気づいたら口内は乾いていて、ただでさえ暑いのに、もっと体温が上昇する。




覚悟を決めてきたはずなのに、身体が震えた。


声もきっと震えるけれど、いましかないと思ったから、このままこの時間が続けば続くほど言いにくくなると思ったから、彼と目線を合わせて言葉を繋いだ。







「別れたいの──」


私の震える声が響く。わたしの言葉を理解した彼の瞳が大きく揺らいだ。