ご飯も食べたし呼び込み再開しますか。

「庵くんありがとうね!じゃ!」

そう言って立ち去ろうとしたら、後ろからものすごく低い庵くんの声が聞こえた。

「おい」

え?なんだろ?

振り返るとニヤッと笑う庵くん。

な、なんか嫌な予感。

「えっと…なんでしょうか?」

「一緒に回ろうぜ。」

うっ…。

「ごめん私、ともだ…」

「ん?なに?無理とか言わねぇよな。昼飯奢ってやったんだからさ、一緒に回るぐらい別にいいよな?」

えぇ!?ちょっと待てい!!

「なんでそうなるの!?感謝してるけど、それとこれはべ…」

「あぁ?回るよな?」

「……はい。」

結局庵くんには勝てず一緒に回ることになった。

奢ってくれたことには感謝してる。

だけど、こんなやり方されるのは嫌だなぁ。

こんなの脅しだよ。脅しと変わらないよ。

少しだけ庵くんは優しい人なのかもって思ったのに…。

そんなこと思った私が馬鹿だったよ。

悪魔だ…。

庵くんは…悪魔だ。

ドンッ!

キャッ!?

「…うぅ…いったい…ごめんなさい…」

「いってぇーな。お前ちゃんと前見て歩けよ。バカ。」

「ごめんなさい…。」

突然庵くんが止まったことに気づかず背中にぶつかってしまった。

いきなり止まらないでよ。

いや、ボーッと歩いてた私も悪いんだけど…。

「つか、お前声出せよ。呼び込みしてる途中だろうが。」

あ、そうだった…。

「ごめんなさい。」

「さっさっと行くぞ。」