「「失礼します」」

「お、白河、颯馬やっと帰ってきたか!颯馬いるものは全部買えたのか?」

「はい。何とか買えました。」

はい、戻った。王子様キャラに。

どうして王子様なんて演じているのか不思議でしかたがない。

「そうか!じゃぁ気をつけて帰るんだぞ!白河も買い出しありがとうな。」

「いえ、失礼しました。」

先生達に頭を下げ職員室をあとにした。

「庵くんお疲れ様!じゃね、バイバイ!」

やっと帰れる。

酷い言われようだったなぁ。

そんなことを考えながら私は何気なく後ろを振り返った。

「うわぁ!?庵くん!?なんでいるの!?逆方向だよね!?」

び、びっくりした。

だって真後ろにいたから。

「うるせぇな。真っ暗だし遅いから送ってやろうと思っただけだろうが。」

「ご、ごめん」

はぁと溜息をつき私の前をスタスタと歩き出した。

…………。

うーん。

気まずい。

なにか喋った方がいいのかな。

よし!

「庵くんってどうしてキャラ変えてるの?」

気になっていることを聞いてみた。

「はぁ?お前には関係ねぇだろ。」

「そうだね。」

また沈黙になっちゃた。

確かに私には関係ないことだよね。

気まずいまま私の家に到着した。

「ありがとうね。バイバイ!」

「別に。」

今日1つ気づいたことがある。

庵くんって優しいところもあるんだということ。

態度は悪しい言い方も悪いけど、袋を持ってくれたり家まで送ってくれたり。

本当はいい人なのかな?

少しだけ庵くんのことを分かれた気がした。

このとき、私はわかった気になっていただけで何も分かっていなかった。

何も知らなかった。

庵くんが私に嘘をついていることにも…。