朝になった。

ちょっと気まずいと思いながら、ラノス様の元に向かう。

「ラノス様、おはようございます」

「リリア、おはよう」

いつもの笑顔だ。


「リリア、聞いたよ。ごめん」

ラノス様は、急に、頭を下げた。


私は、いきなりのことに、びっくりした。

「どうしたんですか?やめてください」


ラノス様に、顔をあげてもらった。

「トーマから全部聞いたよ。ごめんな。リリアの気持ちも考えずに、あんなことして。俺、突っ走る癖があるみたいで」

ラノス様は、本当に申しわけないと、また頭を下げた。

私は首を振った。トーマ様、早速言ってくれたんだ。



「トーマのやつが、嫉妬するから、リリアの専属メイドは、今日で終わり」

「え?」

私は顔をあげた。

「そうなんですか?」


ラノス様は、微笑んだ。

「あぁ。その代わりこの前の子がついてくれるらしい」

ジュリアのことだ。



「リリア、トーマにすごく愛されてるな。聞いてて、こっちが恥ずかしくなったよ」

ラノス様は笑った。

私は真っ赤になった。

もう、トーマ様ったら。ラノス様になんて言ったの?

でも、すごく嬉しいよ。

ありがとう、トーマ様。


「リリア、いっぱい幸せにしてもらえよ。アイツとだったら、絶対幸せになれるさ。なっ?」

「はいっ」

私は、笑顔で返事した。

わかってくれてありがとう、ラノス様。


「まぁ、でもアイツのせいで、リリアが泣いてたら、奪い去りに来るけどな。そんなことにならないように、トーマにしっかり言っておけよ」

ラノス様は、私の頭をパシパシ軽く叩きながら言う。

「はい。ありがとうございました、ラノス様」





ラノス様の事件で、お互いの気持ちが、より深まった気がする。

トーマ様の口から、リリア以外愛せないなんて言葉、聞けると思わなかったもの。


こうやって、色々なことがあって、少しずつ2人の気持ちが、より強く結ばれていくのかな。


毎日、毎日、昨日よりもずっとトーマ様の存在が大きくなっていく。

ねえ、トーマ様。

トーマ様も同じ気持ちなのかな?