私の気持ちが伝わったのか、トーマ様が優しく、さっきの涙の跡にキスをしてくれる。

まるで傷を癒すかのように。

「トーマ様、トーマ様…」

私はトーマ様の名前を呼び、トーマ様に抱きついた。

トーマ様は、私の気持ちをしっかり受けとめてくれる。

この人を選んで良かった。

トーマ様に出会えて良かった。



私たちは、しばらく抱き合い、気持ちが落ち着くまで、ずっとそばにいた。







気が付けば、もう夜の11時過ぎだ。

「リリア、部屋まで送るよ」

すごく、うれしい。

少しでも、一緒にいたい。

でも・・・。

「でも、見つかったらいけないし」

「こんな時間だから、きっと大丈夫だ。送るよ」



私とトーマ様は、薄暗い廊下を歩いて私の部屋にむかった。

「送ってくれてありがとう」

私は、トーマ様を見上げた。

「ああ、また近いうちに、どっか行こうな。おやすみ、リリア」

トーマ様は、そう言うと、私の手に、軽くキスをして帰っていった。


トーマ様、ありがとう。



私はシャワーを浴び、すぐ、ベッドに横になった。


トーマ様と、元に戻れて、本当に良かった。

でも・・・。


明日、ラノス様にどんな顔して会えば良いの?

・・・。

考えても仕方ないか。

なんとかなるよ、きっと。

うん。

私は泣き付かれたせいか、すぐに、眠ってしまった。