「私、もう、トーマ様に嫌われたと思って、不安で、不安で・・・」

トーマ様が、私の頭を優しく撫でた。

「ごめんな。不安にさせてごめん。リリアのことは信じてた。絶対リリアの気持ちは変わってないって」

私は、うなづく。

あんな場面でも、トーマ様はちゃんと私のこと信じてくれてたんだね…。


「でも、やっぱり手をつないでいるところを見ると、ラノスに嫉妬して不機嫌になってしまった。ごめんな。大人げなかった」



彼女と他の男が手をつないでたら、普通、誰だって不機嫌になるよ。

あたりまえだよ。

謝るのは私の方だよ。




「ごめんなさい」

トーマ様は、私の涙をぬぐってくれる。

「いいんだ。リリアは悪くない。あれぐらいで不機嫌になった、俺がいけないんだ。リリアは気にするな」

トーマ様、優しすぎるよ。

どう考えたって、私が悪いのに。

トーマ様…、本当にごめんなさい。

悲しませることして、ごめんなさい。


「ほら、そんなに泣いてたら、可愛い顔が台無しだよ。な?ラノスには、うまく言っておくから心配するな」

私は、コクリとうなづいた。


涙を拭き、顔をあげ、トーマ様を見つめる。

私の大好きな人が、微笑んでくれる。

本当によかった。


トーマ様と離れるなんて、もう無理だよ。


トーマ様なしじゃ、生きていけないよ。

トーマ様の存在が、私の中でこんなにも大きくなってるなんて知らなかった。