触れた唇の感触が、シャルロッテの中にいつまでも残っていた。

ささやかな結婚式が終わった後、シャルロッテとエドワードは天使と悪魔が集まって住める街に向かう。そこに新居があるのだ。そこでこれから二人で暮らしていく。

「安心して?無理やりキスとかその先のこととかはしないからさ」

エドワードに言われ、「当然でしょ。私たちは他人なんだから」とシャルロッテは答える。エドワードは寂しげな顔をしていたが、シャルロッテは何も思わないようにしていた。

神様が用意してくれたこともあって、新居となる家は豪邸と言っていいほどの大きさだ。赤い屋根に美しい白い壁の豪邸にシャルロッテは立ち止まってしまう。

「シャルロッテ?どうしたの?」

ここが家か〜、と言い平然と豪邸に入って行こうとするエドワードに不思議そうに見つめられ、「あなたどうしてそんなに冷静に入っていけるの?」とシャルロッテは訊ねた。

「えっ……。だって、前に住んでいた家とそれほど変わりないし……」