「………あっ、ごめんなさい………。
先生に失望したのは…………
久しぶりに。
…………本当に久しぶりに………希望を持ったからで………
先生が悪い訳ではないんです。
……………けど…………
もう………希望を持ちたくないし………
期待したくないから…………。
そっとしておいて…………もらえますか?
レベルは高いですが………
今の私の偏差値だと………狙えないレベルじゃないって分かったから……。
長迫高校を受験しようと思ってます。
ただ………理事長達には………
まだ伝えないでもらえますか?
時が来るまで………もう少し。
後……………
高等部の澤先生と仲が良いって言われましたよね?
お兄さんが………長迫高校の先生だとも………。
…………もう少し、質問したい事があるのですが………
紹介してもらえないですか?」

大人しい方だとは、思ってなかったけど。

中学生とは思えない、決断力と生きようとする必死さは………。

二十代半ばの自分が、恥ずかしくなる程だった。

失望され、信用のない俺に出来る事は………

澤先生と尚人に頼る事なのかとも考えたが………。

それだとまた逃げる事になる。

だから俺は………条件を出した。

ズルい大人だと思われても…………

今度こそ、逃げる訳にはいかないのだ。

「………………分かった。
尚人………高等部の澤先生とそのお兄さんに
相談にのってもらえるよう……聞いてみる。
ただし、それには条件があるけど。
藤堂さんが……抱えてる悩みを話してくれること。
後は………
二人と会うときは、必ず俺も立ち会わせてくれること。
この二つが守れないなら………
紹介はもちろん、外部受験の事も理事長達に伝える。」