「あぁ~
覚えてる。
学生の頃に、何度か会ったからな。
そのお兄さんが??」

また兄貴自慢を聞かされるのかと思っていたら。

「兄貴の学校のオープンキャンパスに
…………彼女がいたんだって………。」と

彼女??

ピンとこない俺に

「藤堂夏生だよ!
お前のクラスの!!
彼女…………外部受験するの?
俺はてっきり、ウチの高等部に上がると思ってたのに。」と………。

藤堂が………外部受験??

そんな話は

本人は元より、家族からも聞いてない。

「それって、本当か?!」

思わず大きな声になる俺を

ポンポンと背中を叩いて、落ち着かせ。

「間違いない。
めったに来ない制服に、兄貴が気づいて声を掛けたら。
『青葉学園の藤堂夏生です。』と答えたらしい。
俺の学校だったから
『珍しいな。』って、連絡がきたんだ。
その調子だと…………
知らないみたいだな。
理事長達からも………何も??
まぁ、オープンキャンパスだし。
別にそこに受験するわけではないから…………。
冷やかしで、見に行っただけかもしれないしな。」と

ショックを受けてる俺を励ましていた。

けど………俺は………

『多分受験する!』と………妙な確信があった。

それは………

このところの浮かない彼女の顔を、思い浮かべたからだ。

「お兄さんに………会わせてくれないか?
もう少し詳しく聞きたい。」と

尚人に無理を言ってお願いすると。

優しい尚人は、『分かった。』と直ぐに連絡を取ってくれ

明日の夕方に、自宅にお邪魔することになった。