「よぅ!」

いつもの居酒屋に行くと

先に来ていた尚人が、笑顔で迎えてくれた。

「お疲れ~」

「そっちこそ。
忙しい時に呼び出して悪かったな。
なに飲む?」とメニューを渡された。

ビールを頼んで乾杯し

お互いの近況報告を済ませ、少しリラックスした頃。

「拓実。
俺の兄貴………覚えてる?」と

急な話題展開をされて、少し面食らった。

尚人のお兄さんと言えば

大学の頃に、酔い潰れた尚人を送って行った時に

何度か会った事がある。

大きな人で

ラガーマンか格闘家を連想させたが………

聞いた仕事は、俺達が目指す教師だった。

高校の教師をしてると言っていた。

尚人を軽々持ち上げて

『尚人を………ありがとう。
遅いから、泊まっていきなさい。』と有無を言わさず入室させられ

そのまま泊まったことが何度かある。

見た目は、厳つく怖い印象だったが

弟の尚人を溺愛して、とても優しい兄貴だと

尚人がよく自慢する。