「なにニヤニヤしてるんだよ。」

澤先生に指摘されて

自分がニヤケていた事に気づいた。

「……あっ!
いや………別に…………」

苦し紛れの言い訳を考えていると。

俺の隣に回って来て座り直し

肩を組んで耳元で話しかけてきた。



「藤堂………。
夏生は、1日も忘れてないぞ。
忘れようと………頑張っていたけどな。
もう良いんじゃないか?」

………………えっ?!

澤先生は………何を??

「尚人も心配してた。
『アイツは、真面目過ぎるから………
兄貴の爪の垢でも煎じて飲めば良いのに!』だとよ。
因みに俺は、教え子と結婚して………幸せだ。
…………夏生は………一人で生きるつもりらしい。
まぁ、高校で心を許せる仲間も出来たし。
それも良いとは思うけどな………。」と

……………………。

……………………………………。

何も答えられない。

俯く俺に。

「今日が………ラストだぞ。
夏生の性格だと………
二度とお前の前に、顔を見せないはずだ。
後悔だけはするなよ!」

そう言うと

バンッと背中を叩いて………

元の席に戻った。

…………………………二度と顔を出さない。

………………ラスト……………。

……………………………………。

………………………………………また………逃げる?

………………………………。