今年の夏は気温が40°近くまで高くて
どこにいても暑かった。

東京は、アスファルトの照り返しが最悪だし、日傘をさしても暑さはしのげない。
そんなコンクリートジャングルから、田舎の実家にお盆帰省をしたあたしは、新しく出来たかき氷屋の前でメニューを覗き込んでいた。


正直、メニューなんて頭に入ってこない。


いちご練乳、パイナップル、宇治抹茶あずきに、黒蜜きなこ。

そんな文字は目に入っては来るけど。



「喜咲(キサク)、とりあえず中入ろうよ」


あたしの付き添いでここまで一緒に来てくれた地元の友達、モモカが日傘をたたみながら言う。


「、、うん」

「なに、怖気付いた?」

「そうじゃないんだけどさ、緊張して」


あたしは胸に手を置いて深呼吸をした。

時刻は正午過ぎ。
お店が混んでくるのは14時くらいからだと聞いている。


お店の中に入ると、かき氷屋さんだからか、そこまで涼しくなくて少し暖かかった。



「いらっしゃいませ〜」


大きなかき氷を運びながら、店員さんがあたしたちに声をかける。


「2人で」

「少々お待ちください」



心臓がバクバクしてきた。

かき氷、食べれるかな。

胸いっぱいで喉がつっかえそうだった。




「…いないねぇ」



モモカが周りを見渡しながら呟く。


「ほんとに今日、出勤してるの?」

「毎日いるってゆってた、、あ。」