そして、背後から私を温めるかのように優しく抱き締めた。
ああ、温かい。
瑠偉さんの腕をぎゅっと掴む。
「もっと近くに来て」
もっと……。
熱があるせいか私は我が儘になる。
だが、私の王子さまは果てしなく優しい。
「了解、姫さま。いつもこのくらい素直だといいのにね」
瑠偉さんは私の髪にキスをすると、身体を密着させた。
彼の温もりに安心したのか、段々瞼が重くなってきて、意識も途切れ途切れになる。
「明日……六時に起こしてください」
今にも寝そうな声で瑠偉さんにお願いすると、「その熱で出勤する気か?」と呆れるような声が返ってきた。
「でも……会社行かないと」
「無理だよ」
そんな会話をして、他にも彼と何か喋ったが意識が朦朧としていてあまりよく覚えていない。
「ちょっとがっつき過ぎたかな?」
最後に瑠偉さんの自嘲するような呟きが聞こえて、それから優しい闇が私を包み、そのまま意識を手放した。