玄関の中に入ると、洗面器にお湯が用意されていた。
「芽依、こちらはメアリ。家事とか俺の身の回りの世話をしてくれてる。メアリ、俺はちょっと外すから彼女の事頼む」
紹介された女性は少しふくよかな、こちらも五十代くらいの金髪の女性だった。
「はい。お任せ下さい」 
メアリさんが優しい笑顔で応じ、一条さんの姿が消えると彼女が言った。
「痛そうですね。ストッキング脱いでしまいましょうか?血で濡れて気持ち悪いですよね?」
「……はい」 
躊躇いながらストッキングを脱ぎ、ぬるま湯で足を洗う。
かなり傷に染みて痛かったが、メアリさんが丁寧にタオルで拭いて手当てしてくれた。
それから彼女にダイニングルームに案内される。
広さは二十畳くらい。
白を基調としたとても綺麗なダイニングで、壁にはたくさんの写真が飾られていた。
「これは一条さん?こっちは杏樹さんかな?」
まだ赤ちゃんの頃の一条さん、このテニスウェア姿は大学?