「佐久間さん？」
彼の反応に唖然とする私。
何がそんなに可笑しいの？
佐久間さん、笑いすぎて涙目になってますよ。
それに、ちょっと鬼軍曹的なイメージが崩壊してます。
「ああ、悪い。そのくらい鈍感な方がいいかもな。おかげで俺の疲れもとれた。この資料、ミーティング出席者分印刷しておいて」
佐久間さんは私に資料を手渡すと、まだ笑いが収まらないのかくっくっと肩を震わせていた。
一体何だったの？
「私、なんか変な事言った？」
周りの人に意見を求めようとすると、なぜか海外営業部の人たちは私と目線を合わせないようにしてそそくさと仕事をしていた。
【東雲さんて無自覚だね。どっちに賭ける？】
そんな文面のチャットが部内で飛び交っていたなんて私は知らない。