翌日、朝八時に会社に着くと、いつものようにパソコンを立ち上げた。
だが、昨日の朝とは場所が違う。
ここは、総務部ではなく海外営業部。
総務部はビルの三十階だったけど、海外営業部は三十六階でより見晴らしもいい。
深夜まで仕事をしていたのか、みんなの机は書類で埋もれている。
私には理解できないが、散らかす人は大体どこに何があるのか把握してるらしい。
これ整理したら怒られるだろうな。
そんな事を考えながら掃除をしようと一条さんの部屋に入って目が点になる。
なんで？
目の前の光景を疑った。
昨夜、終電近くまで玲子と飲んだせいで頭が働いていないのだろうか。
昨日は定時きっかりに玲子に連行され、一条さんの名前以外は全て白状させられた。
社内の人だとも玲子には言っていないが、勘のいい彼女の事だ、一条さんの前で冷静になれない私を見たらすぐに気づくかもしれない。
なのに、どうしてこの人はこんなに私を動揺させるの？