杉本が俺に顔を近づけ、不敵の笑みを浮かべる。
「情報システム部の深沢さんとパリで消えたそうじゃないですか？さぞかし甘い夜だったのでは？」
彼の話に驚き、持っていたペンをポトッと床に落とした。
げっ？
何でお前が知ってる！
はっ！
さては一条だな。また余計な事を。
「今度じっくり話聞かせて下さいよ」
杉本の目がまだ笑っている。
こいつ、生意気にも俺をからかうつもりか？
うざい。
「ああ～！もういい、仕事する気のない奴は帰れ、帰れ」　
右手で杉本をシッシッと追い払う。
「ストレス溜まってるなら、慰めてもらえばいいじゃないですか。では、お先に失礼します」
大きなお世話だ。
杉本は庶務担と笑いながら去っていく。
どいつもこいつも色ぼけしやがって！
イライラしながら明日のプレゼン資料を作る。
あの夜は……お酒を飲んでてたまたま深沢が隣にいたから一緒に寝ただけ。
惚気て話すようなロマンスは一切ない。