ホント、くだらない。
俺の何を知ってて芽依と不釣り合いと言えるのだろう。
目の前で俺の頬に傷がつくのを見た西嶋は、ショックだったのか床にへたり込んだ。
これでお前は芽依にも俺にも近づけない。
もうこれでお前はお終いだ。
「瑠偉さん、何やってるんですか!」
芽依がこっちに近づいてきたが、駄目だと目で制した。
ダメージを与えたとはいえ、西嶋がまた芽依を襲うかもしれない。
ようやく現れた警備員に声をかけた。
「警備員さん、早く彼女を連れて行ってくれるかな?」 
西嶋を警備員に引き渡すと、すぐに芽依を抱き締めた。
人目なんか気にしてられない。
「怪我は?」
「怪我してるのは瑠偉さんです。なんて無茶するんですか?」 
芽依は怒っていたが、彼女が無事だったのでホッとして思わず笑顔になる。   
だが、この無鉄砲な姫に説教する事を忘れてはいけない。
「無茶してるのは芽依でしょ。俺を殺す気?」