それから佐久間と資料を完成させ、来客の前でプレゼンしているとポケットの中のスマホのバイブが鳴った。
そのままプレゼンを続けていると、佐久間が俺にスマホを掲げて見せる。
どうやら携帯を見ろとの合図らしい。
スクリーンに体を向け、ポケットのスマホを探る。
その時、誤って芽依の桜のキーホルダーがついた鍵が落ちた。
何事もなかったかのように鍵を拾い上げ、資料の説明をしながらスマホを操作する。
芽依から俺と佐久間宛てにメールが来ていた。
会食時間を二十分後にずらして欲しいという内容だった。
ちょっとした準備の遅れか?
普通ならあまり気にすることのない内容。
多分、お弁当の準備の関係なんだろうが、妙な胸騒ぎがした。
プレゼンを早めに終わらせ、佐久間に耳打ちする。
「あのメール、ちょっと気になるから質疑応答は佐久間に任せる。時間稼げよ」
「了解。名誉挽回のいい機会だ」
佐久間はニッと笑って見せた。