「まあね。否定はしない。そんなことより、三ページ目、こことここ、金額間違ってるよね?」
書類に視線を戻し、佐久間にペンで修正箇所を指摘する。
暴言を吐くこいつに俺は容赦しない。
俺の指摘に佐久間は黙り込んだ。 
こいつとしては、完璧に仕上げたつもりだったのだろう。
「色ボケしてなくてもミスる奴はいるよね。すぐ修正頼む」
不敵の笑みを浮かべる俺を見てこいつは悔しそうに歯ぎしりした。
「くそっ、何でも完璧過ぎて嫌みな奴だな」
佐久間は暴言を吐きながらも、ノートパソコンを横で広げてデータを修正し始める。
「褒め言葉と受け取っておくよ。他の資料も俺がチェックするから安心していいよ」
俺の言葉に佐久間はチッと舌打ちする。
本気でこいつはイライラしている訳ではない。
佐久間とのこんなやり取りは日常茶飯事だ。
言いたいことを言い合えるというのは貴重だ。