一条さんに見られてドキッとする。
お願い!気づかないで!
「はじめまして、一条です。佐久間から聞いてるだろうけど、東雲さんには僕のスケジュール管理とアシスタント業務をやってもらうからよろしくね」
甘く優しい口調で言うと、彼は女性なら誰でも虜にするような爽やかな笑みを浮かべた。
はじめましてって事は、一夜を共にした女が私ってバレていないのかな?
眼鏡越しに恐る恐る一条さんの顔をチラリと見るが、一条さんとバチッと目が合って思わず目をそらしてしまった。
まずい……。顔が綺麗過ぎて正視出来ない。
見られてると思うと余計に見れない。
意識し過ぎて駄目だ。
さっき別れたばかりなのに、のほほん部長がひどく懐かしく感じる。
今はあの日常が恋しい。
毎日冷静に彼を見れるの?
しかも、一緒にベッドにいた人よ!
無理よ。絶対無理。
自分の心臓の鼓動がうるさくて、彼にも聞こえてしまいそうだ。
私の心臓がもたない。