「俺はそうだと確信してるけどね。母さんならやるよ」
瑠偉さんは、視線を詩織さんに向けた。
彼女は瑠偉さんのお父さまと何やら嬉しそうに話している。
また、何かサプライズを用意しているのかもしれない。
「まあ……あの詩織さんなら納得か」
佐久間さんは半ば呆れ顔だ。
一条家のやることは規模が違いすぎる。
やがて辺りが暗くなると、ドンという音がして花火が上がった。
「……すごい」
これも詩織さんが考えた演出だろうか?
「ほんと、古城に花火。次に何出て来てもおかしくないわね。スケールが違うわ」
パープルのドレスを着た玲子がクールな表情を崩す。
それまで玲子と談笑していたが、花火が夜空に上がって綺麗な絵を描くと、瑠偉さんと並んで花火を眺めた。
「キレイね。こんな結婚式忘れられない。詩織さんに後でお礼言わなきゃ」
「文句じゃなくて?」
瑠偉さんが悪戯っぽく笑う。
色とりどりの花火が湖面に映ってとても綺麗だった。