思わず頬ずりしたくなるくらいだ。
父方の従姉妹だと杏樹さんは紹介してくれた。
杏樹さんがわたしのドレスの裾を持ち、わたしは父と並んでゆっくりバージンロードを歩く。
「娘を持つ父としてこの瞬間憧れてたんだよ」
父が嬉しそうに呟く。
「私は転ばないか不安ですよ」
「大丈夫、大丈夫。みんな身内だから、心配しないの、芽依ちゃん。それに、瑠偉が待ってるわよ」
本当に義姉となった杏樹さんが優しく励ましてくれる。
バージンロードの先には瑠偉さんの姿。
頬の傷もなくなって今は完璧な王子さまだけど、私としては海賊バージョンも見てみたかった。
今となってはあの顔を写真に収めなかったのが悔やまれる。
杏樹さんがこっそり撮っていたりしないだろうか?
ダークグレーのタキシードを着た瑠偉さんは、格好良すぎて何度見ても惚れる。
こんなに素敵な人が私の旦那さまなんて今でも信じられない。
まだ長い夢でも見てるのだろうか。