「無事とは言えないような?お弁当の犯人て西嶋さんだったんですか?昨日、僕の同期が警備員に連れて行かれる彼女を見たみたいで。それに、一条さんの頬の傷。一悶着あったんじゃないですか?」
彼は複雑な表情をしていた。
どこまで話していいものか。
会食が無事に終了した後、杏樹さんのから聞いた話では瑠偉さんと社長と専務の三人で西嶋さんの処遇を決めたらしい。
警察沙汰にはしない代わりに会社を退職してもらう。
表向きは札幌支社に出向の辞令を出すそうだが、事実上の首切りだ。
おまけに西嶋さんはうちの取引先の常務のお嬢さんだそうだが、今後瑠偉さんと私に近づく事があれば取引を止めると彼女の父親に社長と瑠偉さんが伝えたとか。
曖昧に笑って誤魔化して話題を変えた。
「うん、ちょっとね。それより、どうしてあんな短時間でお弁当用意できたの?お客様には彩りも綺麗で好評だったみたい」