なぜか社長は残っていた

「あのう…なぜ社長がここに⁇
一緒に帰らないんですか⁇」

「いちゃあ悪いか⁇」

怖いんですけど〜

「い…いえ…そのう…お仕事が…」

「お前なあ
なんであんな無茶な事したんだ!」

話が噛み合ってないんですけど…

「無茶な事ですか⁇
羽菜の大切な人達だから
守らないといけないって思ったんです
っと言うか…身体が勝手に動いてました」

「羽菜の為にか⁇
羽菜の為に自分の命は惜しくないのか⁇
死んでいたかもしれないんだぞ!」

「はい…羽菜がいない間…二人を守ろう
と思ったんです
まあ私の勘違いでしたけど…結婚は…
でも羽菜にとってどっちにしろ大切な二人
じゃあないですか
守れてよかったです
もし死んでいても後悔してないですよ
社長や姫華ちゃんに何かあった方が
辛いですから」

「それでも…そこまで羽菜に何か
恩があるのか⁇」

「はい…恩があります
羽菜は大学時代…私を…
助けてくれようとしたんです
卒業半年前に私…退学したんです
退学前羽菜は私から事情を聞いて
理事長に退学を撤回して欲しいと
抗議してくれました
それが嬉しくて…みんな陰では相手が悪いって
言っていたけど…誰一人抗議して
くれる人がいなくて…羽菜だけが理事長に
抗議してくれたんです
だから羽菜の為ならなんでもするって
決めたんです
でもそれ以上抗議をすれば羽菜の卒業も危うく
なるからと思い…羽菜に黙って退学したんです
その後めちゃくちゃ泣かれましたけど
後悔してないです
羽菜が卒業出来なくなる方が辛いから」

「退学に至る経緯を聞いていいか⁇」

「私…理事長の息子にストーカー
されていたんです
私は覚えてないんですけど…その人の
ハンカチを拾ってあげたらしいです
それから私を恋人だと思い込み周囲に
恋人宣言して理事長にも話をしていたそうです
結婚も勝手に進めていたんです
それを噂で聞いて彼にはっきり断ったんです
それから理事長が怒り"退学しろ"と
その息子はネットに事実無根な事を上げて
誹謗中傷したんです
私だけが言われるのはいい
だけど羽菜は関係ないから羽菜に迷惑が
かかると思って…」

「そうだったのか
理不尽な話だ」

「羽菜はそれからずっと私の親友でいてくれて
それで社長の家の家政婦の話も羽菜から…」

話を遮る様に社長が