祈るように手を合わせて試合を見る女子生徒達がいる。
吹奏楽部の音楽に合わせて、ベンチに入れなかった野球部の子達がメガホンを持って「ね・ら・い・う・ち~」って叫んでいる。
ボードに書かれてる校名は、私立高校と公立高校のもの。試合は始まったばかりのようで、スコアボードはまだ三回の表だ。
このどこかに、玉があるんだ。
まずは、スタンド席を慎重に探しながらゆっくり一周する。だけど、影も形もなく、ナビっちの反応もない。
「スタンドには無かったね」
「下だな」
一生懸命試合をしているところにあるんだろうか。
上からは見えなかったけれど、もしも選手を狙っていたら超最悪だ。試合がぶち壊しになってしまう!
ダッシュで階段を駆け下りてグラウンドへの入口を探す。
けれども急いでいる時に限って、それらしきドアも案内板も見つからない。
「もうっ、天使なら、入口くらい、ちょちょいのちょいって見つけてよ!」
つい、焦ってイライラしてしまう。
間もなく、先を歩いていたアクマ天使がぴたりと止まった。
「おいアカリ、そっちじゃねぇ。こっちだ」