アクマ天使の背後に広い駐車場があり、観光バスが何台も停まっている。私の後ろ側には高い塀がずっと続いていて、見上げると大きな夜間照明があった。
「うわああぁっ!」
「きゃーっ!」
塀の向こうから、大きな歓声と音楽が漏れ聞こえて来た。
「ここは、スタジアム?」
キン!と金属音が響くと、歓声が一段と大きくなった。
そうか。高校野球は、甲子園の予選真最中なんだ。
「この辺りに間違いねぇぞ」
スタスタ歩くアクマ天使の後を追って、急いでスタジアムへ入る。
階段を駆け上がって客席に上がると、むわっとした熱気を感じた。これは夏の熱さだけじゃない。応援するみんなの熱い念のせいだ。
こんな世界を間近で見るのは初めて。あまり声を出さずに拍手だけで応援する剣道の試合とは、全然雰囲気が違う。