のろのろと応える。この感じは貧血に似てるかもしれない。

 まだふらつくけれど、頑張って自分で立った。すると、頬が温かいものでむぎゅっと挟まれた。ふらふらしていた目線が固定されて、ぼやあっと、アクマ天使の顔が見える。

 あれ? 素早いな。いつの間にか黒髪のメガネ男子に変わっている。

「おい……アカリ、いいか。しっかり、俺の目を見ろ」

「目をみるの?」

 言われるまま、メガネをじっと見る。

 きらっと光るレンズの奥に、はっきりと見え出したアクマ天使の目が、ふと優しくなった気がした。そのままじーっと見つめてくるから、何て言ったらいいのか迷う。様子がいつもと違うから。

 アクマ天使の手は、私の顔をすっぽり覆っている。男子の手って、こんなに大きいんだ。そんな、どうでもいいことを考えてしまう。

「あ、あのさ。もう離していいよ。大丈夫だから」

 アクマ天使は安心したように息を吐いて、頬からゆっくり手を離した。そして頭をぽすんと叩く。

「よし。行くぞ」

「うん。そうだね。急いで探さなくちゃ。で、ここはどこ?」