おへその辺りがフワッとなって、全身が泡立つ。
ぎゅうっと目をつむって体を固くすると、ぐっとスピードを上げたのが分かった。
耳の傍で、台風のように風がゴーゴーと唸っている。腕に包まれてないところの、体にかかる風圧がすごい。スカートの裾がバタバタして、太腿をピシピシ叩いてすっごい痛い。
文句を言いたいけれど、声が出ない。スピードが半端じゃないっ! これはスペシャルに大変な事態なんだ。
というか、アクマ天使ってば、スピード出すなら、あらかじめそう言ってよー!!
「起きろ……」
アクマ天使が何か言ってる気がするけれど、風の音が耳についていてよく聞こえない。
足が地面についているようだけど、もう川に着いたのか。川まであんなに遠かったのに、あっという間に来ちゃったんだ。体がフワフワする。それに肩がガシッと掴まれていて、ちょっと痛い。
「お前、しっかり立て。手を離すぞ。おい」
「へ?」
「ちっ、しまったな。急ぎ過ぎたな」
「んー、私なら、大丈夫だよ?」