[あれは、幽霊? 妖怪? ううん、人間です!]

「朱里さん、どうぞ。どんどん、食べてくださいね。たくさん作りましたから」

「はい、ありがとうございます! いただきまーす!」

 今日は終業式だった。夏休み中毎日教会に通う私には、春川さんがお昼ご飯を作ってくれることになっている。

 今日も作ってくれていると聞き、早速お邪魔している。

 メニューは、シーフードカレーと野菜サラダだ。何種類か用意されたドレッシングの中から、イタリアンを選んでサラダにかける。早速もぐもぐしていると、テーブルにカルピスが置かれた。

「朱里さん、辛くありませんか?」

「はい、丁度いいです。すっごく美味しいです!」

「それは良かった」

 長方形のテーブル。お誕生席にもカレーが用意されているけれど、あれはアクマ天使の分だよね。

 学校で食べてるところを一度も見たことがないけど、天使も人間と同じ物を食べるんだ?

 カタンと椅子を鳴らして、アクマ天使が席に座る。優雅な仕草で両手を合わせて「いただきます」と言って食べ始めた。

 びっくりだ。本当に食べるんだ。

 スプーンを口に運ぶ感じが、すご~く上品に見える。普段は乱暴なのに、育ちが良いってことか。

『朱里、いいこと教えてあげる。好きな人が出来たら、一緒に食事をするの。食事の時に、その人の本質が大体分かるものなのよ』