「この印だよ。あのときぜんぜん役に立たなかったもん。叩いても引っ張っても撫でても、何にも出て来なかったよ。だからすっごい焦ったの。武器を出す呪文があるんでしょ。教えてよ」

 テーブルの上に転がった玉を袋に仕舞うアクマ天使に、ほらこれだよ、って左手の印を見せてアピールする。

 今日みたいになったら、困る。狙われている子を放って、一人だけ逃げることができない。玉が見える私が闘うしかないじゃない。

「呪文はねぇぞ。その印は、俺が傍にいりゃ発動するもんだ。お前だけじゃ無理だぞ」

「え、それじゃ、一人でいる時に玉を見つけたらどうするの? それが憑いていて、人を襲ってたらどうするの?」

 残り八個もあるんだよ。ナビっちの知らせだけじゃなくて、道を歩いていたら偶然見つけることだってあるでしょう。

「そんときは、俺を呼べって言っただろうが」

「でも、名前超長いし、全部覚えてないし、間にあわっ」