そうか。アクマ天使もあんな可愛い時代があったんだよね、信じられないけれど。

 ということはだ、アイツもキューピットをしたことがあるんだ? 

 意地悪くニタリと笑ってハートの矢を打つ、ちびっこアクマ天使……って。

 ん~ダメダメ。やっぱり可愛いのが想像できない。

「ないない、有り得ない!」

 恋を実らせるどころか、反対に失恋させそうだ。

『頼るな、自分で何とかするんだな』とか言って、目をぎらっと光らせるんだ。ちびっこのくせに、生意気!

「あははは!」

 あんまり可笑しくて、手と頭をぶんぶん振ってると、春川さんが、おや?って首を傾げた。

「朱里さん、どうかしたのですか? 何か可笑しいことでもありましたか?」

「あ、何でもないです。思い出し笑いです」

 つい一人笑いしちゃった。熱くなった顔をパタパタ扇いで、他の話題を探した。

「あ、ね、春川さん。その……リクトはどこに行ったんですか?」

「リクトール様は今ご自分の部屋に居られますが、もうすぐこちらにいらっしゃいます」

「そうなんですか。何やってんだろ。遅いなー」