「あ、はい。ありがとうございます。ポテチ大好きなんです! いただきます!」

 熱中症の怖さは、看護師であるママから聞いてよく知っている。

 さっそく摘まんで頬ばると、カルピス一色だった口の中がポテチの塩分に浸食されていく。

 食べるたびに思うんだけど、このお菓子を考えた人って天才だと思う。ただのジャガイモなのに、薄く切って揚げただけで美味しいお菓子に変身するんだから。

 指に付いたポテチの油をなめながら、改めて、部屋の中をきょろきょろ見回す。

 物が多いけれど、整理整頓された部屋。本棚にはたくさん本が入ってるし、机の上にも読めない字のタイトル本がたくさん置かれている。

 黒い布地に金色の文字でパッと見高級そうだけど、どこの国の字なんだろうか。

 その横の壁にある額に入っているのは、優しく笑うマリア様の周りを飛ぶちびっこ天使たちの絵。頬も身体もぷくぷくしていて、目茶目茶可愛い。

『力のないチビどもの……』