大好きなアスパラベーコンをフォークでプスっと突き刺して、もぐもぐしながら学校のいろんな場所を思い浮かべる。
どこにあるんだろう。まだ探してない校舎はあるけれど、特別教室で普段人がいない場所だ。だから、最後でいいと思う。
残るのは、三年の教室のある校舎と、職員室だ。どちらもすごく入り難い。
「ね、朱里、どした? 何かずっと変だよ?」
向かいに座ってる香奈が話しかけてきた。紙パックのジュースを飲みながら、上目使いに見つめてくる。
「ん、何でもない。どこか変かな?」
「授業終わるとすぐ陸人君とどこかに行っちゃうし。今も、上の空だし。何か心配ごと?」
「あ、ゴメン。えーと、ちょっと探し物をしてるんだ」
「何を? どんなもの? 言ってくれれば私も協力するよ?」
優しい香奈は、綺麗に手入れされた眉を心配そうに歪めている。
私の状態を探るような感じの目。興味本位で訊いてるんじゃないって分かる。全部話せたら、スッキリするんだろうな。
「香奈、ありがとう。すごく嬉しい。でも探してるのは、アクマ……じゃなくて、えーと、リクトのものなんだ。だから、私からは話せないの。ゴメンね」