「ね! この階と下で別れて行こうよ。私は下を見てくるから!」
この学校は敷地が広くて校舎も多い。図書館、部室棟、体育館、プール、教室のある校舎は全部で三個。しかも、一つ一つがやたらと広い。探すところがいっぱいあるのだ。
それなのに、休み時間はたったの十分。効率よく探すには別行動がいい。
そう手早く言って、「あ?」って言ってるアクマ天使を置いて、階段の方へと急いだ。
「早く探さなくちゃ!」
とにかく何でもいいから善玉でありますように!
探す段取り考えながら走る私の目の前に、ヌゥッと、何かが現れた。間もなくお腹にぐわっと圧力を感じ、気づけば体が宙に浮いていた。
「んにゃぁ!? な、何!?」
背中が壁のような何かに当たり、そのまま視界が逆再生されていく。
あれ? もしかして連れ戻されてる? 何で?
「は、離して。早く探しに行かないと、時間がなくなっちゃう」
「ったく。お前、勝手に決めんな。勝手に行くな」
ずりずりずりずりと廊下を引きずられていく。いつの間にか階の端っこまで来ていて、そこでアクマ天使の腕がお腹から離れた。
「だって、別々に探した方が早いもん。そうでしょ?」