アクマ天使は首を少し傾げたから、これこれ、この印だよ!って、左手をぶらぶら振って見せた。
「手に穴が開いてにょきにょき物が出てくるなんて、こんなのホラー以外の何物でもないよ。人の体に何してくれてんの?」
だんだん勢いも声も大きくなっていく。けれど、アクマ天使の表情は変わらない。
「それに、あんたが彼氏だなんて、認めないんだからっ。自慢じゃないけど、初恋だってまだなんだからね!」
そう言った途端、アクマ天使の唇がちょっと歪んだ。
まさか今、笑った? 初カレは乙女の夢なの! 私にだって理想があるんだから。あんたみたいに性格が悪いの、絶対お断りなんだから。
本当になんて失礼なの。
「ぜーんぶひっくるめて、いろいろ、勝手に決・め・な・いでっ!」
一つ一つの言葉を区切って、ハッキリきっぱり言ってやった。それで、勢いに任せて思いきり睨んだ。
剣道で培った眼力を舐めないでよね。見下ろせないのが悔しいけど!