気圧されて変な声が出た上に、冷汗も出てきた。

 ビシッと指を指した格好のまま固まってしまう。

 威圧感が半端じゃない。こんなの、違う。慈愛のオーラがピカーってきらめいて、いつも優しく笑っているのが天使じゃないの。

「文句があるなら聞いてやる。言ってみろ」

 偉そうに言う声がドスが利いていて、めちゃ怖い。

 金髪バージョンは確かにイケメンで、やたら綺麗な白い翼が生えていて、不思議な力を持ってて凄いらしいのは認めるけど。やっぱりこんな天使は嫌だよ、おかしいよ。

 私は手をぎゅっと握って、喉の奥に詰まった言葉を必死に絞り出した。

「あ、だから、玉に字が浮かぶとか。憑かれた人はどうなるとか。そんなの全然何にも聞いてなかったもん」

 もごもごと小さな声になった。けれど言葉に出してみると、また気持ちに力が戻ってくる。

 そうだよ、言わなきゃ伝わらないし、分からないまま悶々とする。そんなの御免だ。

 アクマ天使にずいっと近づいて、腰に手を当てて、精一杯睨み上げる。

「さっきのアレ。善であんな風なら悪はどうなるの? それに、この手! 左手から竹刀が出るなんて、聞いてないよ!?」