「どうしてここにいるの?」
「今日付けで、地上任務を命じられた」
「女神様の護衛隊長は?」
「他の奴がなった。つーか、俺はクビになった」
「クビ!? ちょ、ちょっと待って」
お姫様だっこの体勢じゃ、じっくり話を聞けない。手をばたつかせて、下ろしてと頼むと、すとんと石段に座らされた。
「クビって、どういうことなの?」
「あの最後の戦いの日、俺は、規則違反を何個もしたんだ」
「何個も? そんなに?」
「ああ。一個一個は小さいことだが、数が多いんだ。それが何かは、言いたくねえ。罰代わりに女神に地上任務を命じられた。堕天使の騒動で、地上任務がほぼ空っぽになったってのもある。また春川んとこを拠点にすっから、今から挨拶に行くぞ」
ふわりと体が浮く。さも当然のように道連れになっている。
「ちょ、私も行くの?」
「ったく、当然だろうが。お前が文句を言うな」
「ぴ、ぴぃちゃん? ついてきて!」
ひゅーんと飛んでいった先に、教会が見え始める。
庭で草取りをしている春川さんが私とアクマ天使を見て、すごく驚いた後、破顔した。
「いらっしゃい。これは一体どうした事でしょうか。あ、朱里さん、カルピス飲みますか?」