足元でちょんちょん歩いているぴぃちゃんが、私を見て首を傾げる。

 何を考えてるんだろう。言葉が話せたらいいのに。

 クラスの男子も、カッコイイって噂の先輩も、アクマ天使には負けるのだ。意地悪で口が悪いのに、何で好きになったのかなあ?

「ねえ、ぴぃちゃん。会いたいよ」

 目から、ぽろっと、雫が垂れる。

 困った。まただ。

 こんなに泣き虫じゃなかった筈なのに。

 思わず顔を覆う。


「こんなんじゃ、だめだよね。他に好きな人、つくったほうが、いいよね」

「アカリ。おい、アカリ」

 ダメだ。幻聴まで聞こえて来ちゃった。相当重症だよ。

「アカリ。おい、顔を上げろ」

 ぽんぽんと、誰かが頭を叩く。

 誰なの。今、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだもん。放っておいてよ。帰ってよ。

「仕方ねぇな。相変わらず世話が焼けるヤツ」

 膝の裏に腕が入れられて、ぐわっと持ち上げられた。

「ひゃっ、ちょ」

「お前、他に好きなヤツ、つくるつもりか」

 涙に霞む目に、ブロンドの髪と白い服がぼんやり映る。

 え、え、え? まさか、どうしてここにいるの? 

 水分が邪魔でよく見えない。コシコシ擦ってもう一度まじまじと見た。

「……本物?」

「本物だ」