のんびりと声がかけられ、振り向けば、茶髪でチャラチャラした感じの男子が二人いた。
まだ、人が残っていたんだ。
「ここから離れてください。あっちに悪者がいるんです。危険ですから、早く、レストハウスへ行ってください!」
レストハウスを指差すと、二人は私の手を指差した。
「それ、何を持ってんの? 竹刀?」
「え、これが見えるの?」
チャラ男の顔を交互に見る。聖なる武器として持っているのに、普通の人にも見えるの?
「あー、やっぱり。コイツじゃね?」
「だな。鬼の隊長、最大の弱点、見ーっけ」
ニヤニヤと笑う二人の手に、ギラッと光るものがある。バチンと跳ね上がったのは、鋭い刃を持った、ナイフだった。
「弱点? 鬼の隊長? それって何のことですか」
「またまた~しらばっくれちゃって。探してたんだよ~きみのこと」
後退りしながら竹刀を構える。
探していたって、どういうこと。
チャラ男達の様子が普通じゃない。暴風が吹き荒れているのに、平気そうだし。また、魔族が化けているの?
「大人しく、人質になってよ」
「でないと、怪我しちゃうよ~」
ヒラヒラとナイフを見せてくる。