「好きな女の子を泣かせてどうすんのよ! か弱い子を守るのが、男子でしょ!!」

 ビシッと指差して、言ってやった。

 すると、わあっと周りから拍手と歓声が湧きあがった。

 周りにいた男の人達がバタバタと駆け寄ってきて、もさ髪男を捕まえる。女の子は、おばちゃんたちが慰めている。

 しっかり握っていた筈の光る竹刀は、いつの間にか私の手から消えていた。

 お仕事終了ってこと?

「ご苦労」

 そう言うとアクマ天使は呪文らしき謎の言葉を呟き、手の平を前方に差し出した。

 すると男の肩辺りでふわふわ飛んでいた光がついーっと動いて、アクマ天使の手の平で止まった。

 柔らかい光を放っており、玉の中心に文字が浮かび上がっている。それは、忍者映画等で出てくる変な字に似ていた。

「ねえ、これ何て読むの?」

「日本語で言えば『愛』だ」

 愛って、そんな。これが憑いて、もさ髪男はあんな風になったの?

「ああ。まず、この状況を何とかしねぇといけねぇな」

 そう言うなり、アクマ天使はメガネを取った。
 
 刹那、バサっと翼が広がって、ふわぁとした金色の光が商店街を包み込んでいく。

「ウーヴリエ」