嫌なものを見つけてしまった。

 この戦いを離れた位置から見ている、高等魔族がいる。お化け屋敷の屋根で仁王立ちしていた、あの魔族だ。

 手の中で黒い塊みたいなのを作っている。あれは、土玉じゃない。ほわほわしていて、まるでモヤの塊のようだ。

 大きく丸くなったそれを見て、ニヤーっと笑い、アクマ天使の方に向け、腕を大きく振り上げた。

 アレを投げるつもりなんだ。なのに、アクマ天使は気付いてない。

「危ないっ、逃げて!」

 がばっと立ち上がって知らせに走りだそうとした瞬間、弾丸のように飛んで行ったオタク天使が高等魔族を突き飛ばした。

 はずみで黒い玉は猛スピードで横に飛んで行き、結界の壁に当たって霧散した。

 オタク天使はふらついている魔族をガシッと捕まえて、観覧車の方へ飛んでいく。

 ゴンドラをすり抜けて、そのまま結界の壁に魔族をぶつけ、すぐに離れた。

「ぐわあぁぁ」