足にしがみつく私の体が、ガシガシと踏まれる。

 ずるずると引きずられていく。

 すごく痛い。けれど、目をギュッと瞑って歯を食いしばって耐える。

 痛くて苦しくて涙が出る。

 でも、絶対、離さない。土玉を当てられたって、蹴られたって、絶対離さない。

 誰か。誰か早く来て。お願いっ、誰かっ、誰かっ。

 パパっ。

 リクトール!!

 シュン―――ドカッ! シュン、シュンシュン――ドガッドガガガッ!!

 風切り音と、何かが突き刺さるような音がする。

 それとともに、空気が清んできたような……。

 少しだけ息が楽になってきた。

 たくさんの羽音のようなのも聞こえる。

 重い瞼を開くと、涙で霞む目に、棒のようなものが刺さったずんぐり魔族が黒いチリになっていく様子と、白く輝く人たちがぼんやり映った。

 眩しいくらいに神々しい……これは幻? まさか私天国に来たの?

「お前だけは許さねえ」

 遥か頭上で、地を這うような迫力満点の声がする。

「誰?」

 背中の圧迫感が消えて、急に、体が軽くなった。

「グヘェッ、まざかぁ。お、おまえばぁ……グワッァ、グエエエエエェェェ」