「精玉を抜きゃいいんだ。それが出来るのは聖なる武器だけで、俺の弓矢は威力が強すぎる。だがその点、お前の武器なら大丈夫だ。行け」
「武器って、私、何も持ってないよ」
「印があるだろ。使える筈だ」
「は? 印……?」
手の甲の変な印がピカーッと光った。それを見たアクマ天使は「発動したな」と言って怖い顔で笑う。
「んんっ、熱っ。何これ、何これ! 超熱いんだけど! こんなの聞いてない!」
光り輝く手の甲を押さえていた手の平に、堅い何かがコツンと当たる。私は自然にそれを掴んでいた。印の中から、伸びるように出てきたそれは、目映いくらいに光っている。
「え……これって、私の竹刀?」
「そうだ。手になじむだろ」
持つだけで力が湧いてきて、不思議と、どうすればいいのか分かった。
「お前、その子を離せよ! イヤがってんだろ!」
若い男の人が、もさ髪男に向かって怒鳴っている。
「ウルセェ! テメェラ、キエロ!」
もさ髪男は金物屋の棚からハサミを持ち出して、ケースを口で千切り取った。
ギラッと光る刃先がみんなに向けられてどよめき、二人を囲む円が一気に広がる。