[魔に染まる、中島ランド]

 決戦の朝。スタンドミラーの前に立って、格好のチェックをする。

 Tシャツにショートパンツ。小さな巾着袋にスマホとタオルと小銭を入れて、パンツのベルトにしっかり縛り付ける。

 入園料はぴったりの額をポケットに入れる。荷物は最小限、準備は万端だ。

 ママはいつも通りに仕事に行くのを送り出した。後は、パパに挨拶するだけ。

「よし、頑張れ、私!」

 ペンペンと頬を叩いて気合を入れる。

 私が手伝うと言った時、サナダは一生懸命止めた。危険すぎると。

 でもそれは、遊園地に遊びに来てる人だって同じなんだ。

 サナダたちは、遊園地を休園させることを考えたらしいけど、却って動きづらくなることに気付いて止めたらしい。

 そうだよね、爆破予告とかしたら、警察がたくさん来ちゃうもん。

「ね、パパ。私頑張ってくる。神父以外に玉が見えるのは、私だけ。だから魔族だって見える筈でしょ。みんなを危険から守らなくちゃ」

 魔を閉じ込める結界を張って一般の人には危害が及ばないようにするらしい。けれど、敵には天使も混じってるから万全にはできないらしい。

「魔族じゃない、悪玉が入った人もいるんだって。ね、パパの竹刀借りていい?」